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【振りステ】舞台『おおきく振りかぶって/おおきく振りかぶって 秋の大会編』 原作ファンによる全体評価!演劇ならではの新たな魅力【実体験ログ】

ダブルヘッダー特別公演となる舞台『おおきく振りかぶって/おおきく振りかぶって 秋の大会編』を観てきました!再演を2回、秋大編は千秋楽含めて3回観ました。

この記事では、「原作ファン」の目線で、良かった部分も気になった部分も忌憚なく、ばっさりとレビューしています。

初演との比較、特にキャス変がされたキャラについては俳優さんの比較を含みますのでご了承ください。

「振りステ観に行けなかった」という方の参考になれば幸いです。

 

また、可能であれば初演と夏大編のレビュー記事を先に読んでいただけると、この記事が読みやすくなると思います。よろしければ!

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◆イベント情報

  • イベント名:ダブルヘッダー特別公演『おおきく振りかぶって/おおきく振りかぶって 秋の大会編』
  • 公演期間:2020年2月14日~2月24日
  • 開催場所:サンシャイン劇場
  • チケット料金:一般観戦シート7,700円(税込)、特別観戦シート9,200円(税込)

 

◆初演の再演について

*全体を通してブラッシュアップ!

初演の脚本や流れについてはこちらの記事をご覧ください↓

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初演と比較して、異なる点はたくさんありました。阿部とモモカンと田島と沖と巣山がキャス変されているという意味でも違いますし、同じキャストでも、演技のブラッシュアップが著しかったです。

そもそも「初演と同じもの」を目指して作られてはいないはずです。演技も、演出も、同じ通りにやるはずがありません。演劇はナマモノで、新キャストがいて、続投キャストも経験値を積み、新しい技術や表現を覚えてきます。「初演よりも良いもの」にしなくてはいけないというプレッシャーがあったと思います。

今回、初演時に気になったアドリブはほとんど無くなって、より一層、原作に忠実なキャラ作りとセリフ回しになっていました。

阿部の俳優依存なアドリブもなく、篠岡の乱暴な発言もなく、沖は小心者感があり、桐青監督もマイルドになり、柊の謎アドリブもなくなり、全体的に完成度が高くなっていました。今回新たに追加されたアドリブは原作のキャライメージを損なわなかったです。

また、半分以上キャス変があった他校もすごく良かったです!やはり今回は武蔵野にスポットが当たるからか、武蔵野バッテリーは特に素晴らしかったです。

武蔵野戦をメディアミックスさせたいがアニメ化は難しい→なら演劇化だ!という2年がかりの企画だったのでは?と疑ってしまう程、武蔵野の完成度が高かったです。初演の秋丸登場シーンをカットしなかったのは武蔵野戦まで舞台化するシナリオがあったからだったりしますかね。

*再演で失われた「初心者らしさ」

キャストがレベルアップしての再演。だからこそ、どうしても「再演の」西広を受け入れることはできませんでした。(すみません、私は西広のためにおお振りを読んでいると言って差し支えないオタクなので、西広について話させてください)

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2018年の初演、そして夏大編。亀井さんが演じる西広は、それはもう理想の西広でした。原作通りで、理想通りで、私の長年の夢から出てきたかのような西広でした。

しかし、再演の西広は、「強くてニューゲーム」な西広でした。夏大を体験した西広が、経験値そのままに三星戦桐青戦をやり直しているようにしか見えなかったのです。

全ッッッ然初心者らしさがなくて、全ッッッ然入部時の初対面感もなくて、他の西浦勢に「自分、野球わかってます」というような態度で接していて、試合中もベンチで堂々としていて、まるで長年一緒にやってきた仲間のようでした。

初演時のレビュー記事に、私が書いた一文。

入部シーンでほとんど棒立ちなの、本当に理想の西広です。

今回、棒立ちではなくなりました。それ自体は、確かに「役者として」は素晴らしいことです。しかし、「西広として」は話についていけずにみんなの反応を見ているだけでいいのです、この場面は。

試合中も、初演時は初心者らしく「がんばれー!」だったのが、今回は保護者の野次のように「いけー!」「うてよー!」と、囃子のバリエーションが増えました。確かに「野球の試合の応援」としてはそれが自然な演技かもしれません。しかし、これじゃ「西広」にはならないんです。

つまるところ、亀井さんがこの2年で俳優として急成長を遂げすぎました。亀井さんは秋大編でARC3年生の兼ね役もしており、その結果、西広役を演じるに大切だった「初心者らしさ」はなくなりました。

そういう意味では、秋大編の西広にはまったく不満ありません。でも、三星戦桐青戦では、「経験値のない状態に戻る」という演技をしてほしかったです。

 

HP掲載のキャラクター紹介の西広の写真。

「頭の後ろで両手を組んで、胸を張って背筋を伸ばし、ニヤリと口元を吊り上げ、自信満々で挑発的な表情をしている。」

こんな西広辰太郎は解釈違いです。これはARCの3年生がする表情ですよ。

 

 

 

◆秋大編について

舞台セット等については初演・夏大編と同じですので割愛させていただきます。詳細は各レビュー記事に書いているので、そちらをご参照ください!

*導入~目標設定シーン

西広の三振のシーンからスタートです。

ここの西広、すごく良かったです。「ラストの盛り上がり」という積み重ねがないままいきなりクライマックスでよくあそこまでボルテージ最高潮にできるなと感激しました。音楽、ライト、演出もさることながら、三橋と西広の演技が素晴らしかったからこそだと思います。2018年の秋の感動が蘇りました!(西広のバッティングフォーム良くなりすぎていて全然打っちゃいそうでしたが笑)

その後の花井と田島の掛け合いもアニメを見ているようでした!

目標設定シーンは白紙が配られ、毎回ちゃんと実際に書いていました。ここは栄口のアドリブポイントになっていて、やっていることは原作通りなのですが日替わり小ネタを挟んでいて面白かったです。そうそう、こういう原作準拠の笑いが欲しいんだよ!

原作の西広のセリフ「思ったこと言った方がいいよ」はカットされていましたが、「田島にとっては現実味があることなんだよ」という巣山のセリフを西広が言っていました。気付けた違いはこの程度で、今回は本当に「変な改変」が無かったです!

*合宿シーン・日常シーン

毎回恒例のしのーか練習レポートは秋大編でも健在です。猪野さんがいないので変なアドリブもなく平和でしたね。

「合宿中の勉強時間に西広だけが起きている」というオリジナル展開がありましたが…原作ファンとしては、そこは誰も寝ないだろ…と思いました。

この合宿、全国制覇を正式にチームの目標に決めて、モモカンが「1秒たりとも無駄にしない!集中力あげるチャンス!」と力説した矢先ですよ。原作でも「意外と授業中の居眠りはしない」と単行本裏かどこかに書かれていましたし、ちょっと解釈違いではありました。まあ演出上の都合ということで、そこまで目くじら立てるほどではないです。

合宿中のエロトークも原作通りにありました。むしろボリュームアップしてました。

阿部と三橋で朝ごはん作りのくだりもちょっとした小ネタがあって、全体的に面白かったです!西銘さんと澤田さんのペアとても良い! 

そして、夏大の抽選会は完全カットだったので秋大の抽選会もカットかと思いきや、抽選会・文化祭・甲子園見学まで、シナリオに組み込まれていました!

甲子園見学のあとの3校合同合宿はさすがになかったですけどね。甲子園見学シーンといえば、舞台グッズになぜか利央がいたのでここでサプライズで利央&高瀬が出てくるか?と予想していたのですが、出てこなかったです。本当になぜグッズだけ利央いたんでしょう…笑。

 

 

*ARCと武蔵野の試合

原作で「榛名編」と揶揄されていたARCと武蔵野の試合を舞台で完全再現です!

観戦席(ひな壇)に三橋、阿部、モモカン、栄口、田島、花井だけが残り、他メンバーは他校モブへ転換。篠岡はウグイスポジションへ。実況ポジは栄口・田島・花井がじゅんぐりに担当していました。田島と花井が実況するのは初めてですね。なかなか新鮮でした!

西浦メンバーが他校を兼ね役する際、大体は帽子やヘルメットを被るのですが、なぜか湯本さんだけ被らず。水谷が武蔵野のユニフォーム着てるようにしか見えず、脳がバグりました。ヘアセットが崩れるとかそういう事情があったんでしょうか…。

西広役の亀井さんはARCの5番と7番を兼任していました!スライディングも、バッティングの姿勢も、気合の入れ方も、かなり様になっていました!野球できる上級生の雰囲気が出ていました!最初、越智さん永岡さん松本さん(桐青の3人)のどなたかが兼役してるのかと思ったくらい、上級生らしさ&野球上手い感が出ていました!(西広の初心者らしさが失われた原因のひとつなので、複雑ではありますが…)

原作読んでいてもARCのキャラクターはヨシさん、太田川、塩入くらいしか印象にないですが、舞台ではスッと俳優さんが役に馴染んで観られました。

太田川役、誰だったんだろう?と思って調べたら…慎吾さん!?!!!??マジ!!!??めちゃくちゃ驚きました…!!

原作だとムフムフ言っていて顔やシュポーッが特徴的で、「漫画特有の濃キャラ」感が強い子ですが、舞台でのキャラ付けが適量で素晴らしかったです!「ムッフー!」をやりすぎず、でもウザくない程度に挟み込んできていて、物語の邪魔をしない程度に太田川のキャラを出しています。ARCのキャラクターは音声化されていませんので、ここまでキャラを煮詰めるためにめちゃくちゃ漫画を読み込んでくれたと思います。松本さんありがとうございます!!

ヨシさんも良かったです…!原作だと怖いキャラというイメージしかなかったのですが(個人的にロカさんより怖いです笑)、飴と鞭を使い分ける、怖いけど慕われる先輩、の塩梅が素晴らしかったです!!吉田さん、畠役に続いてぴったりの役柄だと思いました!吉田さんに演じてもらえて嬉しいです。

塩入の青森弁とその掛け合いも笑いを生み出していました。原作通りです。だからこそ良いのです。アニメ化されてない部分だから尚更、この掛け合いが音声化したことによる新しい魅力が引き出されていました。

これを新しい媒体で見れて、本当に嬉しいです。やっぱりおお振り面白いですよね。このへん西広が出てこないのであまり読み込んでいませんでしたが、すごく面白かったです。

ARCキャラを兼ね役された俳優さんについては、こちらの記事でがっつりと書いています↓

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ARCに負けた武蔵野の会話シーン、まさかの泣いてしまいました。原作ではまったく泣かなかったのですが…。まさか西広三振以外で泣きポイントがあるとは…!

榛名さんの「オレが一人で点取られたんだ、あんたらは負けてねぇ」というセリフに心が震えました。カグヤンの「自分に夢、見てるか」というセリフはみぞおちに響きました。大河の「自分のための練習は全然つらくねぇんだぞ」というセリフで涙がこみあげてきて、それを飲み込んだら咳が出ました。(ごめんなさい)

そして、原作でここを感動ポイントだと思ってなかった私が、客席で今こんなに感動して心動かされているのに、舞台上の秋丸にはまったく響かないのです。

町田先輩たちがしきりに言う「榛名に触発されないのか?」がもはや観客の代弁になっているという追体験まで味わいました…!!

 

試合後、阿部三橋が榛名秋丸に会いに行くシーン。当然ここもアニメ化されていないので「音声化」されたのはこれが初めてなわけですが、ナニコレスゴイ!!!!!超理想通り!!!!

漫画がアニメ化したとき、それまで脳内で読んでいたセリフとは抑揚や言葉の間の取り具合がちょっとイメージと違ったな~ってなること、たまにあるじゃないですか。

でも、すべてにおいて、それがなかったんです。

阿部の怒りも焦りも嫉妬も、大橋さんが見事に感情を乗せてくれて、榛名の「あれをずっと根に持ってるのか」のくだらねー!って感じとか、「オレのせいじゃねーしーっ」のふんぞり返り方とか、「あんときオレ性格悪かったんだよ」って省みる感じとか。本当に本当に本当に本ッッ当に素晴らしかったです!!ありがとう大橋さん、ありがとう神永さん!!

 

 

*西浦と武蔵野の試合

この試合は西浦ではなく榛名秋丸にスポットが当たります。原作通りです。パンフレットのひぐちさんのコメントにも「榛名編」と書いてありました。

この試合、原作よりも物語(試合)にのめりこめました。それは秋丸役・佐伯さんのおかげでもあり、今回のダブルヘッダー公演という戦略の賜物でもあり、演劇という媒体のおかげでもあります。

初演でチョイ役で登場した初期の秋丸、本当にやる気ない感じ出てました。それが変わっていく変化がすごく面白くて、ぐっと引き込まれました。この試合が始まってやっと秋丸が心情独白で声を荒げたとき、胸倉をつかまれた気分でした。

初演と秋大編のダブルヘッダーという情報を知ったとき、「仮にこれがアニメだとして、2期カットで1期と3期だけ放送するというのは違和感」と思ったのですが……、今回のダブルヘッダーは「西浦のあの感動をもう一度」ではなく、「武蔵野バッテリーの成長を描くため」に必要な装置だったんですね!

あとは単純に、試合のラストの送球ミスを表現するにあたって、演劇がベストな媒体だったと思います。あのシーンの秋丸のしょうもなさと不甲斐なさは、コマ割りされている漫画やアニメでは表現が難しいです。

また、原作読んでいてあまり気にしたことなかったのですが、この武蔵野戦が一番「阿部と三橋がちゃんとバッテリーになっている」としれないと気付きました。

秋丸が成長しようともがいている横で、成長した阿部と三橋が「ちゃんと」バッテリーしているという場面が多くて気持ちがよかったです。

 

◆まとめ

アニメ化されていない秋大編が舞台という新しい媒体で表現されたこと、そしてそのクオリティの高さ、原作ファンとして本当に心から嬉しく思います!

原作ファンが気付いていなかったおお振りの魅力、他校キャラの魅力を伝えてくれる舞台で、素晴らしい脚本でした!

 

俳優さん別のレビューはこちら↓

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