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【解説】高松美咲『スキップとローファー』レビュー 青春群像劇の真骨頂!心に沁みる3つの理由【ネタバレあり】

高松美咲『スキップとローファー』の紹介記事です。

単行本の1巻~6巻までの内容を含みますので、アニメで『スキップとローファー』を知り、原作が気になっている方の参考になれば幸いです!

 

スキップとローファー(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 

 

 

●作品情報

  • タイトル:スキップとローファー
  • 著者:高松美咲
  • 出版年:2019年
  • 掲載雑誌:アフタヌーン(講談社)
  • ジャンル:高校生活、青春ドラマ、友情、ヒューマンドラマ

 

●『スキップとローファー』はどんな漫画?

◆大人のための青春漫画

読者全員が感じていることがあると思います。

「みつみと一緒に高校生活を送りたかった!」

漫画を読んで、アニメを観て、そう感じませんでしたか?

部活動系も恋愛物も大きな括りとしてある青春漫画というジャンルで、同じ年代の若者たちの共感を集める作品は幾多とありますが、『スキップとローファー』の読ませたいターゲット層が大人です。

そのため、大人の感性を刺激する要素が随所に盛り込まれています。

 

◆高校生活を追体験する漫画

『スキップとローファー』は恋愛漫画ではありません。主人公は部活にも入っていませんし、オシャレなカフェでバイト等もしていません。

なのに読者はみつみを通じて高校生活を堪能することができます。それは物語の展開にリアリティ、現実味があるからです。

文化祭回でクラスの出し物が演劇になったときに演目がサウンドオブミュージックになるあたりがリアルに進学校らしいですよね。

また、ちゃんとキャラクターの性格に合わせて配役や裏方の役割が選ばれており、シナリオ至上主義ではなく「みつみの学校生活」が描かれているのが伝わります。

主人公のみつみは演劇に直接関わらず、生徒会の仕事を全うします。誠に至っては描写すらされないあたりが徹底されています笑。


『スキップとローファー』や『氷の城壁』など、最近の漫画はこういった学校イベントを等身大に描くようになってきていますね。

一昔前の漫画だったら、ベタベタにロミジュリやシンデレラ、白雪姫といった演目で恋愛模様に絡めたり、メイン配役が全員レギュラーキャラだったり、生徒会の仕事とクラスの両立を簡単にこなしていた可能性があります。

 

◆自分の過去の尊さに気付く漫画

『スキップとローファー』は、特に何か起こるわけでもないのにものすごく読みごたえがあり、読み終わった後に多幸感に包まれます。

1巻の最終ページの渋谷の風景はこんなにも心に沁みるのはなぜでしょうか?

私たち大人の読者が、「みつみちゃんが渋谷も東京も好きになってくれたら嬉しい」と、志摩くんと同じ気持ちになるからなのかもしれません。

または、地方から東京に出てきた私たち大人の読者も、みつみと同じく田舎から上京してきて「この街を好きになった」からなのかもしれません。

いずれにせよ、登場人物全員が自分の分身のように思えるのです。


私の場合は、学生時代早く田舎から出たくて、でも上京できたのは大人になってからだったので、ナオちゃんの感情がすごくわかるのです。嫌な思い出しかないけど好きな景色はあるってのも本当にその通りで。

 

『スキップとローファー』という物語のシナリオ設計には、記憶の奥深くから目覚めたような尊さを感じます。

この尊さは私たち読者自身が、自分の過去から持ってきたものです。

だからみつみや志摩くんやナオちゃんや兼近先輩というキャラクターたちを好きになる過程で、自分自身のことも好きになれるのです。

『スキップとローファー』の登場人物たちも、こうやってみつみから影響を受けたんでしょうね。

 

スキップとローファー コミック 1-11巻セット (講談社)

 

 

●考察

◆視点で異なる志摩くんの絵柄

『スキップとローファー』は基本的にみつみ視点で進むため、みつみから見た志摩くんは1巻からずっと「スマートで都会的で優しくて実家の犬に似てる」感じの男の子です。

いつもニコニコしていて物腰柔らかくてかわいらしく、高校1年生っぽさがあり、ソフトな線で描かれてることが多いです。

「ちゃんと友達になるの初めてかも」のシーンで唐突に解像度が上がり、志摩くんがシャープな線で描かれたことで、みつみが初めて志摩くんを意識したことが表現されています。

バレンタイン回のミカちゃんの「私の浅ましさなんかお見通し」のシーンで描かれている志摩くんも、すごく解像度が高いですよね。

この志摩くんを「犬っぽい」と言う人はいないでしょうし、表情と視線も冷めていて、高校1年生にも見えません。

ミカちゃんには常に解像度で見えていたのだとしたら、志摩くんの印象がみつみとは全く異なるのがわかります。人には人のフィルターがあるのですね。

 

ちなみに文化祭あたりの志摩くんは、この中間くらいのタッチで描かれています。

文化祭は志摩くんが中心となるエピソードのため、このときの絵柄が一番本人像に近い「素」なんだろうなと考えられますね。

 

●まとめ

『スキップとローファー』は、地方出身で都会に憧れを抱いていた大人の感性を刺激する青春漫画です。

高松美咲の文才をアニメよりも顕著に感じることができるため、作者の真髄を味わいたい方には原作のコミックをぜひオススメします!

 

高松美咲が気になった方は、また違った作風のSF『カナリアたちの舟』もオススメです!

rainysteria.com

 

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