稲垣理一郎・池上遼一『トリリオンゲーム』の考察・紹介記事です。
SNSで話題になり、目黒蓮・佐野優斗主演でドラマ化、映画化もされたトリリオンゲーム。ついに原作が完結しました!
エンディングは少し駆け足でしたが、綺麗に風呂敷を畳まれています!
全11巻と手も取りやすいですし、ハルたちの我儘の結末を知りたいドラマ勢の方も最終巻だけ買って読めば大体わかるようになっているので、ぜひ手に取ってみてください!
◆作品情報
- タイトル:トリリオンゲーム
- 著者:稲垣理一郎・池上遼一
- 出版年:2021年
- 掲載雑誌:ビッグコミックス(小学館)
- ジャンル:ビジネス・投資・ヒューマンドラマ
◆この漫画のおもしろさ
芸能、ゲーム、報道、モバイル、通信等、さまざまな事業に手を出してきたハルとガク。
ガクの技術あってこそなのは当然として、どれも勝負の決め手は、ハルの「信頼を得て味方をつける」コミュ力でした。
ハルは1巻からずっと、インチキやウソをやりますが、ハルの「騙す」行為は、一貫して「自分を信じさせる」行為なのですよね。
騙した相手に犯罪をやらせるわけでも、地獄に落とすわけでもありません。
ハルとの勝負に負けた瞬間は「騙された!」「嵌められた!」となった人たちも、ハルの仁義の切り方に絆され、長期的に見ると旨みを得ています。
また、ハルは仲間であるガクやキリカに対してもウソをつきますが、それは、「ガクやキリカはウソを見抜いてくれると信じているから」できたことです。
この関係性が、経済・政治・投資・ビジネスといったテーマを漫画として成立させ、読んでいておもしろいと感じます!
◆キリカは味方?ハルとの恋は?
何度も何度も読者を惑わせたキリカですが、味方です。
ドラゴンバンクを自分のものにする(父との勝負に勝つ)ためにハルたちと手を組んだ、というのが近いかもしれません。
マネーゲームに勝つためにハルと恋人のフリをしたりガクと政略結婚をしたりしましたが、ハルへの恋愛感情は本物のようですね!
また、ハルからキリカへの感情も恋愛で間違いなさそうです!ハルもいまいち真意が見分けにくいですが、2巻の時点で、祁答院から好きな女のタイプを聞かれた際にキリカを思い浮かべながら「似たもん同士、ワガママにガッツがあるやつ」と答えていたあのシーンが何よりも本心だったように思います。祁答院の「永遠にすれ違うぜ」という発言も、2人の展開を示唆するようですしね。
ハルとキリカは、結婚ですらビジネスのカードに過ぎません。お互いに「その覚悟」ができるからこそ惹かれ合ったのです。だから本編中では最後までくっつくことはありませんでした。
でも、ハルもキリカも「欲しいものはすべて手に入れる」主義。GAFAMを食って世界を獲った暁には、お互いがお互いを手に入れようと動くはずです!
◆ハルは死んだの?出身鳥取は本当?
ずっとガクの回想でハルが死んだような言い回しがされていましたが、最終回でついに真実が判明しましたね。
ハリー本人は否定していましたが、本編でガクたちが言っていた通り、ハリー=ハル本人で間違いありません。すっとぼけていますが、記憶を失くしてすらいません。
「そこまでする?」ということをこれまでやってきたのがハルです。
球団編で、球団オーナーも丸々1ページ使った大コマで「そこまでするぅー?」と言っていた通り、ハルは「そこまで」してしまうキャラクターなのです。
また、ハルは鳥取出身でもないし、あの寿司屋は実家でも何でもありません。幼少期の想い出話もすべてインチキです。ドラゴンバンクの面接や世界の堀本のときと同じように、「盛った嘘はバレても、そもそも一から百まで嘘ならバレない」。ハルにはそれができるんですね。
あの寿司屋と父親役をどうやって手配したのかは描かれていませんが、同じようなことを世界の堀本のときにやってるので、全然納得できてしまいますね。
◆まとめ
トリリオンゲームというタイトルから、ギャンブルの漫画のように勘違いしてしまうかもしれませんが、めちゃくちゃキャピタルの漫画で奥深いです!
また、ハルのコミュ力の根源や考え方まで語られており、学ぶことも多いです。
本当に、大人こそ読んでおもしろい漫画でした!